説話集。「安居院(あぐい)作」と記してあるが、具体的な編者は不明。14世紀後半(文和(ぶんな)・延文(えんぶん)年間)の成立か。10巻50条。
天台宗および伊勢(いせ)
神道色の濃い
本地垂迹(ほんじすいじゃく)の教義と、有名諸神社の
本地仏を記してある。とくに赤城(あかぎ)・
伊香保(いかほ)・児持山(こもちやま)大明神など上野(こうずけ)国(
群馬県)の
利根川(とねがわ)西側の神社を中心にして、ほかに熊野・伊豆箱根二所・諏訪(すわ)など関東地方に信仰圏を有した有力神社については
垂迹の縁起および神々の前生物語(本地譚(ほんじたん))を記してある。